厳しくする対象は子供ではない
子供は何もしなくても正しい勉強の仕方を身につけるものではありません。また、正しい勉強の仕方を教えてあげたとしても、
子供は、最初からその通りに実行できるものでもありません。
しかし、多くの方は、子供に次のようなことを言ってしまいます。
「なぜ、言われたとおりにやらないのか」
「なぜ、こんなことも理解できないのか」
つまり、叱ってしまうのです。
正しい勉強の仕方ができないからといって、叱ってはいけません。
しかし、間違った勉強の仕方は、しっかりと見つけ、修正していかなければなりません。
つまり、チェックの目は厳しくする必要があるのです。
叱らずに厳しくしなければならないのです。
そして・・・
厳しくする対象は「子供」ではありません。
子供の書いたノートなどに対して厳しい評価をするのです。「叱ること」と「厳しく評価すること」とでは、
子供の受け取り方に、大きな違いがあることにお気付きですか?
叱られれば、嫌だなぁという気持ちになるのに対し、
厳しく評価されれば、次は気をつけようと思うようになるのです。
また、叱った後に、子供の気持ちをフォローすることは、なかなか大変なものです。
しかし、厳しく評価した後では、様々なフォローをすることができるのです。
人は「良いこと」よりも「悪いこと」のほうが強く印象に残ります。
たとえば、レストランなどに行き、「料理は美味しかったけどトイレが汚かった」などの場合、
「料理が美味しかったこと」よりも「トイレが汚かったこと」のほうが後々まで印象に残るのです。
飲食業の大手チェーン店では、奇抜で個性的な「良い部分を活かした接客」をするよりも、
どんなお客さんに対しても失礼のないような「悪い部分を無くした接客」をしています。
「良いこと」よりも「悪いこと」のほうが印象に残るという傾向に基づいて対策を立てているのです。
ですから、勉強に関しても「悪い印象」を減らしていくことが重要です。
勉強は楽しいものなのです。
今の時点では、まだ、勉強は楽しいものではないのかもしれません。
しかし、勉強が楽しくなる可能性も十分にあります。
子供に対して厳しくすることによって、勉強が楽しいものではなくなってしまうのです。
勉強を楽しくするためには、気持ちが沈んだ状態を継続させないことが重要です。
厳しさを子供に向けてしまい、子供が「嫌だなぁ」と感じてしまったのであれば、子供の沈んだ気持ちを元にもどしてあげることは非常に困難です。
たとえば、会社などでも、上司に厳しく注意されたことで、
何日間も「嫌だなぁ」と思い続けながら仕事をしている人もいます。
こういった気持ちは、時間をかけて少しずつ回復するものです。
(人によっては、すぐに回復してしまう人もいますが)
同僚などに励まされたりすることで、一時的ではありますが、一気に回復することはあります。
しかし、厳しく注意した本人が励ました場合は、すぐに気持ちが回復するものではありません。
厳しくした本人は、すぐに気持ちを元にもどしてあげることはできないのです。
子供の勉強の話にもどってみましょう。
あなたが子供に対して厳しくしてしまったのであれば、
あなた自身では、すぐに子供の気持ちをもとにもどしてあげることが非常に難しくなるのです。
そして、気持ちが沈んでいる間は勉強に対して前向きでなくなり、
「勉強をやらされている」という感覚になってしまうのです。
当然ですが、「やる気」は下がります。
では・・・
厳しくする対象を変えてみましょう。
厳しさを子供に対して向けるのではなく、ノートなどに対して厳しい評価をし、コミュニケーションを通して気持ちをフォローしていくのです。
ノートなどが厳しい評価をされることによって、多少は気持ちが沈むことはあるでしょう。
しかしこの場合では、厳しくされた対象はノートなどで、
厳しい評価をした保護者の方は、いつでも子供の味方になってあげることができるのです。
厳しい評価をしながらも、子供の味方になってあげることで、
子供は気持ちが沈んだままにすることなく、前向きに勉強を続けることができるのです。
コミュニケーションのしかたによっては、
「次こそは正しくノートを書こう」などと思い、「やる気」も上がってきます。
さらに会話に工夫していくことで、子供が勉強を楽しんですることもできます。
こういった学習に関するコミュニケーションを、
あなたが楽しんでおこなっていればさらに効果的です。