勉強すると決断させ、やる気を引き出す
「どのようにして学力アップをさせていくか」・・・しかし、それ以前に、子供に「勉強をする」という選択肢がなければなりません。
まずは、子供に「勉強をする」という選択肢を増やしてあげる必要があるのです。
勉強をする準備でいちばん大切なものは決断です。
勉強すると決断しない限りは何も進みません。
決断することなしに勉強をしていたのならば「勉強をやらされている」になってしまいます。
これでは、やる気も出るはずがなく、学力アップは期待できません。
子供自身が「勉強をする」と決断することが大切なのです。
決断をさせるためには、子供の選択肢の中に「勉強をする」という選択肢が必要です。
たとえ「やる気」は低くとも、「宿題くらいはやる」、「テスト前だけは勉強する」など、
少しでも自分から勉強に向かうようになれば、「勉強をする」という選択肢が入った状態です。
これに対し、人から言われれば嫌々ながら勉強し、言われなければまったく勉強しないような場合、
やる気を出す以前に、「勉強をする」という選択肢が無い状態です。
まずは、子供に「勉強する」という選択肢を作り、「勉強する」と決断させましょう。
では、「勉強する」と、いつ決断させればいいのか
「勉強する」と決断させる時期は、早いほどいいでしょう。
早くから勉強することを始めれば、勉強を積み重ねてくる量が圧倒的に違ってきますので、
当然、そのぶん学力に差が出てきます。
また、決断が遅くなるほど、「勉強しない」という習慣がついてきます。
子供の価値観も、勉強以外の選択肢を中心とした価値観が形成されてきます。
そして、後から勉強という選択肢を迫られることで、
「勉強は楽しくない・嫌なもの」という価値観に変わってくるのです。
遅かれ早かれ、「勉強する」と決断しなければなりません。
・人より早ければ優越感
・人より遅ければ劣等感や周囲からのプレッシャー
心境的にも、早いほどベストであると言えます。
また、勉強しない期間が長くなるほど、習慣や価値観が固定されてきます。
人は習慣から外れることを嫌います。
「勉強しない」という習慣がついてしまえば、勉強させることは並大抵の努力ではできません。
また、価値観を変えることは、さらに困難なことです。
「勉強する」と決断させるのが遅いほど、決断させることが困難になってくるのです。
具体的には、小学校4年生までに決断させることが理想です。
勉強をしない習慣が身についてしまっている子供に「勉強する」と決断させ、
学校の授業内容がしっかりと理解できる学力までアップさせるためには…
・小学生では数週間から2〜3ヶ月
・中学生では数ヶ月から1年以上
子供が急激に成長する小学校6年〜中学1年を過ぎると、習慣や価値観が固定されるため、
「勉強する」と決断させて学校の授業内容に追いつくことが難しくなってきます。
できるだけ早い段階で「勉強する」と決断させるのが良いでしょう。
「勉強する」と決断させるための2つの方法
「勉強が楽しい」と思った子供は、何もしなくても「勉強をする」という選択肢が入ってきます。これは、小学校の先生の力量によります。
小学校6年生〜中学生になってくると、子供は急激に成長し、自分の価値観が固定されてきます。
つまり、小学校のうちに「勉強が楽しい」と思うことなく、まったく勉強をしてこなかった子供が
中学校で中学生の授業を受けて、急に「勉強が楽しい」と思うことは、きわめて稀なのです。
今まで勉強をしてこなかったのですから、中学校の授業を理解することは難しいでしょう。
授業を聞いてわかったつもりになっても、実際にはほとんど全く理解がされていません。
そのため、テストなどで思ったように点数が取れず、さらに勉強が嫌いになっていくこともあります。
ですから、子供が中学生の場合、学校に任せっきりにするわけにはいきません。
あなたが、お子様に「勉強する」と決断させなければなりません。
「勉強する」と決断させる方法は2つあります。
日常会話で勉強することの価値を認識させる方法
勉強することの価値を認識させる方法では、子供に次のことを認識させて決断に導きます。・勉強することには価値がある
・勉強は楽しいものだ
・勉強しなければ将来非常に危険だ
・勉強しなければ損をする
「勉強することの良い点」、「勉強しないことの悪い点」を認識させるのです。
これらのことを、あなたが子供に言うだけでは意味がありません。
子供が自分から理解しなければならないのです。
そのために、あなたは、次の2つのことで思いついた例を、思いつく限り徹底的にあげていくのです。
・勉強ができると、どんないいことがあるか
・勉強ができるようにならないと、どんな悪いことがあるか
子供が「勉強しなければまずい、勉強をしたほうが良さそう」という意識に変化させてあげるのです。
ここで注意しなければならないのは、「勉強しなさい」というプレッシャーをかけないことです。
あなたの価値観を押し付けてしまわないことが大切です。
また、まったく同じ内容の話をしてあげたとしても、
表現方法次第では、「勉強しなさい」というプレッシャーがかかってしまいます。
叱ったり、厳しくしたり、プレッシャーをかけることで、勉強を「ただの義務」と感じてしまいます。
子供にとっての義務の意味は、「嫌だけど無理やりやらされるもの」というイメージです。
つまり、「やらなければならない」と強制された「嫌なもの」だと理解して、勉強がさらに嫌いになり、
勉強しなさいと言われたときだけ、やる気のないまま、仕方なく勉強するようになるのです。
これでは自分から決断できたことになりません。
数日間、場合によっては数ヶ月間、厳しくすることをやめなければなりません。
基礎にもどって勉強を教える方法
「勉強が嫌い」、「勉強がつまらない」・・・これらは、「勉強がわからない」ということが一番の原因ではないでしょうか。
僕のノウハウを体験された方から、「学校の授業が理解できなくなり、不登校になってしまった子供がいる」という話を聞かせていただきました。
今、このような子供たちが多いようです。
勉強がわからなければ、「勉強がつまらない」というのは当然です。
そして、つまらないものを、周りから言われてやらされているのですから、嫌いになるのも当然です。
そこで、勉強がわからなくなった時点にもどって、そこから勉強をやり直してもらうことで、
あらためて「勉強する」と決断させようという方法なのです。
つまり、子供の学年よりも下の学年の勉強をしてもらうのです。
たとえ中学生であっても、小学生の内容の勉強をしてもらうこともあります。
そして、少しずつ理解することで、「勉強がわかる」、「楽しい」という意識に変わってくるのです。
これは、僕の勤務している塾でも実際におこなっている方法です。
しかし、子供は次のように思ってしまうことでしょう。
「なぜ前の学年や小学生の勉強をしなければならないのか」
「わざわざ前の学年の内容や小学生の内容なんて面倒くさいからやりたくない」
劣等感を感じて、さらに勉強が嫌いになってしまう子供もいます。
そのため、「なぜ下の学年の勉強なのか」という理由を子供に理解させてあげなければなりません。
この方法の弱点は「〜させる」ということです。
しっかりとした理由を提示して、子供が自分からやろうと思うようにならなければ、
「勉強させられている」になってしまいます。
では、具体的な方法です。
まずは、お子様の学年よりも1つ前の学年の問題集と、2つ前の学年の問題集をご用意ください。
教科は数学・算数だけでじゅうぶんです。
・2つ前の学年の総合的な問題を、時間を計ってテスト形式でやらせてみる
・1つ前の学年の単元ごとのまとめの問題を、時間を計ってテスト形式でやらせてみる
そして、できなかった単元についてのみ、「復習をする」と言って、
その単元の勉強を最初から(基礎から)学習させるのです。
しっかりと理解できていなかったから復習をするのです。
今後学習する内容を理解するために復習をするのです。
劣等感を感じさせないためには、次のような統計をあげてみるといいかもしれません。
・小学校5年生で学習する「割合」は、中学生の半分は理解していない
・小学校6年生で学習する「比と比の値」は、中学生の半分は理解していない
(これらは事実です)
これらのような材料を使って、劣等感を感じさせないようにしてあげるのも良いでしょう。